スピーカー パイオニア CSA−30
インピーダンス16Ω 耐入力15W 昭和38年(1963年)製
内部配線も大部分ベルデン製に変更 トリテック製吸音材(ドイツ産)を増強。
ホームセンター園芸用品売場で求めた鉄道の枕木+TGメタル製鉛インシュレーターを使用してセッティング。
ウーハーは30cm。ツイーターもスコーカ−もアルニコマグネットを使用。それまでB&Wのブックシェルフスピーカーを自室で使用していたのですが。ものはためしと自宅の納屋で25年間眠っていたスピーカーを埃をはらって引っ張り出し、以前使用していたエレキットTU−873に接続してみました。
恐る恐るスイッチを入れてみると聞くに堪えない古めかしくてボケた音が出てきたのでやはりだめかと思いましたが、初めてアンプを製作した時のことを思い出し、そのまま12時間以上CDチェンジャーで鳴らし続けたところ。だんだんと音がしゃきっとし始め、スピーカーの大きさも手伝って迫力のあるサウンドへと変化していきました。TU−873は8Ωと4Ωの端子しかないので8Ωで接続してしばらく聴いていましたが、さらなるグレードアップを考え、トランス類も大きく16Ωの端子もあるサンオーディオSV300BEを導入しました。
結果、これまで聞いたことのないようなリアルなシンバル音、トランペットやサックスの音が出てきたのでびっくりしました。ピアノなどもまるで近くで弾いているよう。ボーカルもライブそのものです。アンプとの相性もよかったのでしょう。もうブックシェルフスピーカーにはもどれません。とにかく音が生々しく感じられたのでした。それを契機としてオーディオにさらにのめりこむ事になってしまったのです。私なりにオーディオショップやインターネットで調べたところ、アルニコマグネット使用のスピーカー特有のものだとか・・・。スピーカーの前に演奏者が飛び出して来るような感触ともいえましょうか。私の頭の中に”スピーカーはアルニコに限る”という固定観念も出来てしまったのでした。古いがために起こる数々のトラブルにも当初悩まされましたが、現在ではすっかり落ち着き、メインスピーカーとして楽しませて頂いております。
能率はわかりませんがおそらく高いものでしょう。耐入力も低く、真空管アンプで駆動するのにぴったりです。(もともと真空管を使用した古いチューナー内臓プリメインアンプにつながっていました。(出力段7189A−PP) ちなみに全面のスピーカーネットは取り外しできません。
このスピーカーに惚れ込んでしまった私は、日本橋電気街のパーツショップで見つけたタムラ製作所の高級トランスを購入、300Bシングルモノラルアンプを製作し、方チャンネルに1台のオールウエスタン真空管+オールタムラトランスのアンプで鳴らすという贅沢をしています。
小ホールでの小編成ジャズの臨場感に加えて大ホールでのオーケストラでもかなりの臨場感を持つまでになりました。ただ、私の考えではホーンツイーター搭載なのでオーケストラのテュッテイでは空間の描写と音の粒立ちという点でやや苦しいような気がします。ドームツイーター搭載型ならこの点は優れるかもしれません。しかしながらジャズは、特にサックスやトランペットの曲を聴くにはやっぱりホーンツイーター搭載型が美味しいので、しばらくはこの組み合わせで楽しむことになるでしょう。
最後に音の味付けの傾向は、というと昔のスピーカーには良くあることですが”JBL風”を当時の技術者は目指していたのではないかと考えております。シンバルの金属の硬質な響きの再現がとりわけ得意のようです。
内部
配線を一部更新する前のオリジナルの姿。 ツイーターのトラブルのためおよそ40年ぶりに裏ブタが空けられたのでした。25年以上前に引っ越した小学校までを過ごした家の懐かしい匂いとともにアルニコマグネットのお尻が現れました。
コード類のビニール皮膜に劣化は見られません。 ただ、マグネットの後ろの部分にやや錆びが見受けられます。エンクロージャーはあまり上等でなさそうな合板で出来ています。ただ、バッフル板は厚みのある材料をつかっています。左下に見えるのがネットワークで、小さな空芯コイルとオイルコンデンサーで構成されています。これもあまり上等ではなさそうなので、今後研究していいものに変えたいところです。(古い部品はユニットとの相性の問題もあるのでこのスピーカーの持ち味を殺さないようにするにはこのままのほうが良いという意見もあるので後になってそのままにすることにしました。)防音材は古い木の繊維のようなもので出来ていますが、あとで大阪のテクニカルサンヨーで求めた吸音材(トリテック製 ドイツ産)を増強しました。
このスピーカー、使用開始後しばらくたってピアノの高音部を再生したときに震えるような音がでるトラブルが発生、それの解決に数ヶ月を要してしまいました。アンプのサンオーディオさんの紹介で東京のヒノオーディオさんにツイーターを送って点検してもらったところ異常なしということで、各部の配線の接触不良が原因ではないかとアドバイスをいただき、検証したところ下のアッテネーターの電極締め付けねじが原因だったことが判明しました。同時にアルニコマグネットのスピーカーの長所についても色々と教えていただきました。
ツイーター PT−6L
ウーファー PW−302A
アッテネーター AT−16
裏ブタについているアッテネーターです。内部の信号取り出し端子と可変抵抗器の端子同士の接触不良によりピアノの高音部分を再生したときに奇妙なノイズが出るというトラブルに悩まされたのでした。 とりはずしてねじを締め付けただけでめでたく解決。現在では私の貴重なスピーカーとして楽しませてくれています。なにせ物心ついたときに家のリビングに鎮座していましたので、幼少期の原風景そのものです。郷愁を伴った愛着があります。子供の頃よく両親がこのスピーカーでジャズを聴いていたのもうっすらと覚えています。
ほんとうにヒノオーディオさんには感謝しています。
スピーカーターミナルはフォステクスのものに変更しています。ケーブルはベルデン製です。 ヨドバシカメラで1m¥1450でした。
40年前に母が購入したときにセットだったパイオニアのラックCB−1とチューナー付アンプSX802(6BQ5PP) 現在は殆どダミーですがプレイヤーシステムPS−8750の台として使用しています。
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